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特集 糖尿病こころと行動のキーコンセプト
情動コントロール
Control of Emotion
皆藤 章
1
1京都大学大学院教育学研究科
キーワード:
①コントロール
,
②情動
,
③心理的課題
,
④関係
,
⑤コンプレックス
Keyword:
①コントロール
,
②情動
,
③心理的課題
,
④関係
,
⑤コンプレックス
pp.423-427
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100975
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糖尿病者にとっての情動とは何か?
糖尿病と情動とはきわめて密接で切り離すことのできない関係にあります.もとより,すべての人間は,情動というやっかいなものに右往左往しながら一生を送ると言っても過言ではありません.つまり,情動をいかにコントロールして自分自身の人生を生きていくのかは,実に本質的な課題なのです.それに加えて,糖尿病者の場合はさらに事態は深刻だと言うことができます.それは,糖尿病という異質な「何か」を自分自身の人生のなかに引き受けて生を営まなければならないからです.そこには,一個人の人生を超えて,家族を中心としたさまざまな共同体の在りようも深く関わってきます.すなわち,糖尿病を生きているのは当人自身であるにも関わらず,糖尿病ではない家族にとっても,この疾患は無関係と言って捨象することができないのです.それどころか,家族もまた,糖尿病という異質な「何か」を引き受けて人生を生きることを余儀なくさせられるのです.そこには,引き受けたくないものを引き受けて生きねばならない人間の深い情動体験があります.
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