Japanese
English
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D.D.S.による癩の治療
D.D.S. TREATMENT IN LEPROSY.
平子 真
1
Makoto Hirako
1
1国立療養所多摩全生園
1Tama Zenshoen
pp.179-182
発行日 1958年2月1日
Published Date 1958/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202189
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緒言
癩の治療として久しく大楓子油が用いられて居たが,ズルフオン剤系統の薬剤の出現により,完全におきかえられるに至つている。即ち1908年Frommらは4-4-Diamino-Diphenylsulfone (以後DDSと略す)を合成した。しかし人体に対する毒性が非常に強い為に,その毒性の少い誘導体として1937年Parkらによりプロミンが合成され,著明な癩症状の改善が見られ,比較的な意味での治癒例が多々見られる様になつた。かくて早期診断,早期治療の結果,再び社会へ復帰し得る者の数を増しつつあるは大変喜ばしい事である。
ところでプロミンの母体としてのDDSに就いてはその後も種々研究され,1947年頃Lowe或はCochraneらはその注射を,又Loweは更に経口投与を試みてきた。その結果消化管よりは90%以上も吸収され,而もその排泄は緩除に,しかし完全に行われ,吸収度の割には副作用も少く,治癩効果の著しい事,更に加うるに低廉な事と相俟つて広く採り上げられ,一般化する傾向にある。ところで本邦に於ても先年来吉富製薬よりその製剤としてプロトゲン(1錠中DDS 15mg,メチオニン50mg,ビタミンB120.3γ含有糖衣錠)の提供を受たので昭和29年以来100余名の患者に使用して来たが,唯単に顕著な治癩効果を挙げたと云うのみならず,他の治癩薬に対して耐性と考えられる症例にも効果が認められ癩治療面に於て一大福音を得られるに至つた。
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