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コートリル(ハイドロコーチゾン)局所注射による慢性皮膚疾患の治験
今北 力
1
,
坂本 邦樹
1
,
岩佐 賢二
1
1大阪大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.67-70
発行日 1956年1月1日
Published Date 1956/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201603
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吾々が臨床において時に経験することであるが,或る種の疾病にたいしてcortisoneを投与しても思わしくなくACTHを用いたとぎにはじめて所期の効果をあげうる場合がある。例えば最近にはリウマチ性紫斑病にcortisone 250mg.を用いて無効であつたものにACTH 80mgで全治した例を見た。このような場合の説明の1つとしてACTHによつて分泌を促されるglycocorticoidのうちcortisoneよりもhydrocortisoneの方が多く分泌されるという実験成績がある。実際にあたつてもThornやHollanderの研究以来,局所的に用いるとぎにはcortisoneよりhydrocorti-soneの方が格段と優れた成績をあげることが知られ,作働するcorticoidはhydrocortisoneであつて,外から与えられたcortisoneはhydro-cortisoneに転化してから発効するのではあるまいかと想像されている。しかしsteroid系ホルモンの生体内での推移に関して解明している点は未だ微々たるものであるが,Hechter等が行つた摘出副腎灌流泌によるsteroidの分析研究によるとcortisoneはhydrocortisoneから導かれ,むしろその代謝産物と考えられており,cortisoneの含量もhydrocortisoneの1/5〜1/6にすぎないという。
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