特集 皮膚泌尿器科診療の進歩〔2〕
膿尿の診断と治療
大村 順一
1
1岡山大学
pp.1168-1175
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201577
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膿尿の一般
膿尿とは尿に膿汁,膿球が混ずることであつて,この汁は尿路における炎症,或は化膿に由来するものである。但し,まれには,泌尿性器外の他臓器から,尿中に膿汁を排泄することもある。(例えば,虫垂炎による膿瘍,化膿性卵管炎等)
膿尿と一見同様の溷濁尿を呈する場合,例えば,細菌尿,塩尿,(燐酸塩尿,炭酸塩尿,尿酸塩尿,蓚酸塩尿)に於ては化学的検査,或は顕微鏡的検査によつて区別されなければならないことは云うまでもない。但し,注意しなければならないことは,炎症に細菌感染の加わり,或は感染によつて炎症が惹起され尿中に細菌の存在する場合には,一口に膿尿というも,事柄は簡単ではない。蓋し,泌尿器科領域においては,泌尿諸臓器は,常に上行性感染の危険が存在するという事,又疾患が手術の適応となる場合,病巣は常に尿に曝露されるということは,疾患の取扱いにおいて他の領域とは些か趣を異にする所である。
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