増刊号 尿検査法
I.総論
3.尿の異常
(6)膿尿,細菌尿
小野寺 昭一
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科
pp.36-37
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901059
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膿尿
膿尿とは,尿中に白血球が混入している状態をいい,一般には尿路・性器における感染症の存在を示す.しかし,尿中の白血球数は採尿の方法や利尿の状態(尿比重)により容易に変動するため,膿尿の存在をそのまま尿路・性器感染症の診断に結びつけることは危険である.適切な採尿法すなわち,女性の場合はカテーテルによる導尿か中間尿によって行われた場合,男性では二杯分尿法(はじめの第1尿を30〜50 mlとり,残りを第2尿とする)によって行われた場合で,尿沈渣の無染色標本の鏡検(400倍)で毎視野5個以上の白血球が認められれば尿路感染の存在が疑われる.
女性では,採尿法が適切でないと,外尿道口周囲あるいは腟前庭部の分泌物が混入し,膀胱尿が清澄でも結果として膿尿がみられることがしばしばある.特に,尿中の白血球とともに扁平上皮がみられる場合には腟分泌物が混入している可能性が高い.このようなときは,カテーテルによる導尿によって確認するか,正しい中間尿の採取法,すなわち,陰唇をよく拡げ,外尿道口部をよく清拭したのち10〜20ml程度の最初の尿を捨て,厳重に中間尿を採取して検尿を行うようにすべきである.
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