皮膚科図譜・56・57
皮膚癌/Pemphigoid
福代 良一
1
1東大皮膚科
pp.1021-1022
発行日 1955年12月1日
Published Date 1955/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201548
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55歳,男子。家系に癌はない。20歳頃左鼻翼に黒子様のものを生じ,永らくそのまゝであつたが,数年来そこに時々痒みを覚え,いぢつて出血することがあり,やゝ大きくなつた。半年来目立つて増大したが,痛みはない。初診時現症(第1図):左鼻翼に蚕豆大,ほゞ円形,半球状に隆起した腫瘍があり,中央はやゝ凹んで血痂を附し,辺縁は堤防状,蒼紅色,弾性硬に触れる。局所リンパ腺腫脹はない。組織像(辺縁部,第5図):表皮は扁平化,真皮全層に亘り大小の細胞巣が充満,多くは互に,一部は表皮と連結し,また多くは内部に円形の腔を備えている。腫瘍細胞の形態及びその排列から腺様構造を持つた基底細胞癌と考えられる。治療としてラドン・シード5本を腫瘍内に打込み,腫瘍は急速に縮少,消失した(第2〜第3図)。3年後再診して瘢痕治癒の状態にあり(第4図),再発を認めない。
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