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化学的脱毛剤,特にThioglycollic acidの効果について
本田 史朗
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1東京逓信病院皮膚科
pp.535-540
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201464
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I. 化学的脱毛剤発達の歴史
化学的藥品を以つて脱毛せんとする試みは古くから色々と行われている。文献的にはアラビヤンナト,其の他古代の文献中にも記載されているという。しかし,その発達は遅々たるものであつた。近代医学が発達してからこの目的に使用されている藥品は衆知のように硫化物即ち硫化バリユーム,硫化ストロンチユーム等の硫化物であるがこれは数世紀に亘つて使用されて来たという事でこの方面の発達の模様が窺えよう。硫化物には種種の欠点のあることはよく知られている通りで,之に関して1937年 Koeune1)は詳細に記載している。即ち彼は,硫化物脱毛剤の難点は第一に鶏卵の腐敗にも似た悪臭を有すること,第二に皮膚に対する刺戟作用の強いことを述べているがこの二大欠点の排除は種々の研究に拘らず,遂に解決されずに最近に至った。所が1947年に相前後して2カ国の研究者に依つて解決が与えられた。一方はオランダに於けるKarel&Bohemenで,彼等はThioglycollic acid及び其の他のMercaptocar—boxylが一定アルカリ溶媒中で脱毛作用を有する事を認め,他方はアメリカに於けるEvans&Mcdonaugh2)で同様の事実を認め脱毛クリームとして使用可能なる事を発見した。
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