Japanese
English
研究と報告
精神薄弱児に対するBOGA(Erythro-β-hydroxy-dl-glutamic acid)の効果について
Studies of the Effects of BOGA on the Mentaly Retarded
斎藤 徳次郎
1
T. Saito
1
1東京都立梅ケ丘病院
1Umegaoka Psychiatric Hospital in Metroporitan Tokyo
pp.927-931
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200775
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Ⅰ.序言
精神薄弱に効く,薬はないものと教えられ,長くそう信じられてきたが,Zimmerman(1946)がL-Glutamic acid(GA)が精神薄弱に効くと発表した。このことは精神薄弱に堅く閉ざされていた扉をたたいたものとして大いに意義があつた。しかしそれにつづいて多数の研究報告が出る。われわれ自身も大いに期待して追試してみたが,こんにちなお決して満足すべき結果でないことはご承知のとおりである。さてGAにつづいて,さらにγ-Amino-butyric acid(GABA),γ-Amino-β-hydroxy-butyric acid(GABOB)などがつぎつぎと登場してきた。すなわち倉田,谷,倉持,高木岡崎,田中らがこれらについて研究報告を行なつているが,これとてもGAと大差なく,また一方Cerebrolysin(Ceremon)も,その特殊の組成からその効果を期待させたが,これも前述の薬物に甲乙ない程度である。
たまたま私たちは山之内製薬からBOGAを入手しえた。これはつぎにあげるような化学構造,薬理作用をもつ薬物で,それから見ても前述のGA,GABA,GABOBと同列にあるいはそれ以上に,精神薄弱の臨床面に応用されてよいと思われた。とにかく,少しでも有力な新しいもののこころみがなされることは,精神薄弱の改善,理解への一つの手がかりとなると考えてこの試験に着手した。
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