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皮膚科領域に於けるメルカプト醋酸ソーダの治療経験
坂本 邦樹
1
,
村上 淳一
1
1大阪大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.222-224
発行日 1955年4月1日
Published Date 1955/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201403
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はしがき
SH—系藥剤の湿疹,皮膚炎に対する応用は多くの医家によつて行われ,見るべき効果のあることが報告されている。この中遊離SH—基を有する藥剤としてはBAL及びSodium thioglyco-llate (メルカプト醋酸ソーダ)が一般に使用されている。これらは元来重金属中毒症に対する特効剤として研究され,それが炎症性皮膚疾患群に対しても良効を奏することが知られたのである。かかる遊離SH—基を有する藥剤の作用機序に関して加納等は毛細血管牧縮,還元力亢進,抗拡散因子,抗滲出性作用等に重きを置いている。更に加納等はSodium thioglycollateはBALに比して効果はわずかに劣るが,BAL使用時に於ける筋注局所疼痛,頭痛,顔面灼熱感,悪心,嘔吐等々の副作用が皆無であつたとのべており,野口,谷奥等も湿疹,皮膚炎群に使用して良効と副作用のないことをのべ,荻原等もこれに賛同し,皮下及び静脈内に簡単に注射出来ることを利点としている。重金属中毒,湿疹,皮膚炎以外の皮膚疾患については北村,野口,宮崎,高瀨,谷奥,荻原等が蕁麻疹,多形滲出性紅斑,女子顔面黒皮症,ジユーリング疱疹状皮膚炎,一過性湿疹,ジベル薔薇紅色粃糖疹エリテマトーデス,続発性慢性紅皮症,乾癬,中毒疹等に有効であることを報じている。
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