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原発性尿管腫瘍の2例
野尻 正寿
1
,
市川 武城
2,3
1熊本大学医学部皮膚科泌尿器科教室
2三井三池鉱業所病院皮膚科泌尿器科
3熊本大学
pp.219-222
発行日 1955年4月1日
Published Date 1955/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201402
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原発性尿管腫瘍は最近その報告が増加したとは云え多い疾患ではない。Rayer(1941)の剖検例を嚆矢としSengerによれば1951年迄の報告は310例を出ない。良性腫瘍としてPolyp,乳頭腫,肉芽腫,筋腫等が挙げられ,最も多いのは最初の2つである。然し原発性良性乳頭腫もそれ程多いものではなくOttley(1945)は自己の1例と共に,文献より僅かに27例を蒐集し得たと云い,所謂原発性尿管乳頭腫と云われるものの多くは腎盂乳頭腫よりの二次的のものであると述べている。悪性腫瘍としては乳頭状及扁平上皮癌が最も多く,Lazarus及Marks(1945)は自己の1例と共に文献より183例の原発性尿管癌を報告している。その他少数の原発性尿管肉腫(Rademaker 1943;Kraus 1944)の報告もみられる。本邦に於ては岩崎等(1951)は岩下(1942)が蒐集した16例に更に文献より集めた5例及び自己の症例5例を加えた26例について報告している。
上部尿路癌の中尿管に原発するものは約1%(Foord-Ferrier),全尿路腫瘍では腎,膀胱に発するもの最も多く86.5%,腎盂,尿管に生ずるものは僅かに8.4%にして而も尿管はその半数を占めるに過ぎない(Douglas),発病は50〜70歳の間に最も多く(80.7%),男子65%に対し女子35%,左右尿管は殆んど差違を認めない(Senger)と云う。
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