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経腰的腎盂撮影法(直接的腎盂撮影法)に就て
稻田 務
1
,
後藤 薰
1
,
仁平 寬己
1
,
酒德 治三郎
1
1京都大学医学部泌尿器科教室
pp.3-5
発行日 1955年1月1日
Published Date 1955/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201344
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緒言
腎盂及び尿管像を描出するには造影剤(contr-ast media)を用い,レントゲン撮影を行うが,之には従来から次の2方法が使用されて来た。即ち①逆行性腎盂撮影法(retrograde pyelogra-phy),②排泄性腎盂撮影法(excretory pyelo-graphy)である。
逆行性腎盂撮影法は1904年Kloseによつて蒼鉛溶を用いて試みられたのに創る。併しこの試みは不結果に終り,漸く1906年にVoelcker u.Lichtenbergよつて初めて成功した。造影剤としては膠質銀液たるコラルゴール(Collargol)5〜10%溶液が用いられたが,副作用の点で欠点多く時にこれに因る死亡例もあつた。そのため1時中絶状態にあつたが,1914年にBraash,Eldeがハロゲン化合物,殊にNaJ,NaBr等が溶液として造影剤に使用される事を発見してから,一般に急速に発達した。本邦に於ては笹川(1921),佐谷(1921),柳原(1924)氏等により迫試され現今広く使用されている。我々の教室に於ては初めNaBrを使用した時期もあるが,現在専ら20%NaJを使用している。陰性造影剤たるガス体を使用する気体腎盂撮影法(pneumopyelography)は1909年Lichtenberg u.Dietlen等が酸素を腎盂内に注入したのに始まり,現今に於ても屡々利用される所である。
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