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血管腫の1新注射療法(第1報)
栗原 善夫
1
,
安原 稔
1
,
鴨井 淸隆
2
1大阪医科大学皮膚科泌尿器科教室
2兵庫県立尼崎病院外科
pp.644-648
発行日 1954年11月1日
Published Date 1954/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201297
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緒言
一般に血管腫の治療は美容上の要請に基ずくものであるから,その治療法はこの要請を十分満足せしめるに足るものが撰ばれねばならない。従来これが治療には種々の方法が講ぜらられているものの,腐蝕,焼灼,切除などの方法はこの要請に添わぬこと多く,所詮ラジウムや雪状炭酸凍結療法などの優秀な効果に及ぶべくもないことは周知の通りである。しかしこれらの療法は如何に良法ではあつても,それには設備なり経験なりを必要とし,目下の我が国の現状を以てしては,遺憾ながらどこにおいてでも,また誰しもが簡易に行うことができてしかも毎常良果をあげ得る方法とはなし難い。
注射療法は既に古くから一部に実施されているものであるが,しかもこれが一般化をみない理由は,美容効果の必ずしも期待に添わぬ許りでなく往々にして所期の目的に反する結果を招くがために,隆々たるラジウムの声価に圧倒されてあまり顧みる者のない実情にあるものと考えられる,もし仮になんらの危惧なくこれを実施できて,しかも美容目的が十分に達せられるならば,注射療法こそは極めて簡易な良法となすことができる筈である。
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