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ストレプトマイシン療法後起りたる殘腎尿管の瘢痕性狹窄に因る無尿症の1手術例
宮川 忠弘
1
1青森市東青病院外科
pp.42-44
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201137
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1943年ワツクスマンにより發見されたストレプトマイシン(以下SMと略す)は其後,相次いで出現したパス,チピオン,ヒドラジッド等の抗結核劑と共に結核症治療上,驚異的偉力を發揮しているが,その療法の齎す諸種の副作用は勿論,それによつて惹起される二次的障碍に就ては慎重な考慮を梯うべきである。泌尿生殖器結核の領域に於ては腎盂,尿管,膀胱及び尿道等の所謂,粘膜結核には腸結核,喉頭結核と同様卓効を奏し,早期に瘢痕を形成して治癒する傾向が強く,尿管に於ては狹窄,膀胱に於ては萎縮膀胱並に柵状索形成,腎孟に於ては腎盞頸部狹窄を來す。之に反して實質性臓器である腎臓,前立腺,副睾丸等の結核には粘膜に封する程の効果は認められていない。SM療法後の尿管狹窄に因る無尿症に關する報告は本邦に於ては,極めて少い。私はSM療法後起つた残腎,尿管の瘢痕性狭窄に因る無尿症の1例に遭遇し,市川氏法により腎瘻術を施行し救助し得たので茲に報告する。
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