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皮膚科領域におけるビタミンA使用經驗
横關 勤
1
1徳島大學醫學部皮膚科教室
pp.37-40
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201135
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まえがき
Frazier and Hu(1931)はビタミンA不足により夜盲症,眼球乾燥症に合併して皮膚に過度の角質化がおこることを述べたがこの皮膚變化(乾燥粗糙)は眼症状に先驅し,次で大腿の前及び外側,上腕の後及び外側に屡々毛嚢性丘疹を生じ,次第に四肢伸側,躯幹,項部と擴るとした。Loewenthal,Scheer,Hallも同様症例を經驗し,Vitamin Aの上皮保護作用が確認されるに至つたが,その後痤瘡様發疹の報告もあり(Loewenthal,Mackay,Goodwin,片岡,Fasal etc),皮膚色の褐色化については異論があるとは云え,毛嚢,毛幹の萎縮,皮脂腺の變化(片岡)も知られ細菌感染に對する抵抗減弱が證明され,更にPolyavitaminoseの觀念が導入されて皮膚疾患とvit.Aとの關連は益々密接になつて來た。
從つて皮膚科領域におけるV.A療法の報告は數多いが私共は最近合成V.A劑であるチヨコラA注(油性A,50,000單位,D,2500單位,水性A,25,000單位,D,1250單位)の提供を受け各種皮膚疾患に試用したが,從來の天然ビタミンA劑に比し,注射後の副作用が少く,且錠劑(1錠A10,000單位 D,500單位)も魚臭なく,且服用が容易で,油物を極端に嫌う子供にも容易に服用せしめることが出來,且効果も迅速で,見るべきものがあつたのでこゝに報告する。
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