--------------------
交叉性腎變位に就て
楠 隆光
1
,
高野 成夫
1
,
武田 武雄
1
,
增田 正和
2
1新潟大學醫學部泌尿器科
2國立高田病院
pp.589-593
発行日 1953年10月1日
Published Date 1953/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201052
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
交叉性腎變位は,既に1654年にPanarolusが記載してから知られている稀な腎の畸形であつて尿管口は正常の樣に左右に對照的にあるのに,腎が他側に轉位しているために尿管が大動脈を越えて他側に向うものである。最も多いのは1腎が他側腎の下方に轉位しておるもので,又両腎はしばしば融合している。この畸形は從來非常に稀なものとされており,Stewart and Lodge(1924),Beer and Ferber(1937)及びShoemaker andBraasch(1939)等の報告を平均すると約5500例の剖検例に1例の割合に見出される割合である。最近ではレ線診斷法の普及によつて臨床的に發見される症例が次第に増加しており,1938年にWil-merはその286例を文献から集め得たのに續いて高橋・岩下(1940)はその289例を,Resnick andClark(1946)はその383例を,そしてAbeshouse(1947)は自己の4例を加えて337例を數え得ている。我國で1929年亀谷敬三の第1例の報告以來今日迄の處,椎名三郎,中内義夫,藤井信雄,高橋明・岩下健三,市川篤二,伊藤秀隆,篠田倫三・岸陽一・田中正,及び市川篤二・大越正秋・村上守・山田稔の各1例,合計8例を數え得るに止る。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.