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女子尿道線維筋腫
斯波 光生
1
,
川岸 悅郎
1
1北海道大學醫學部泌尿器科教室
pp.408-410
発行日 1953年7月1日
Published Date 1953/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201000
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女子尿道の腫瘍はポリープ,カルンクルス等の僞腫瘍を除いた眞の新生物は稀なものであり,其中上皮性惡性腫瘍たる癌腫は夫でも岩崎(1951)によると本邦文献上51例を算するが,間葉性腫瘍は良性惡性共に著しく稀なものの樣である。間葉性良性腫瘍は線維腫,線維筋腫,筋腫等に分たれるがこの1群は本邦では1926年,吉田の線維腫の報告に始り以後齋藤,青地(1932)の線維腫,佐坂(1935)の筋腫,西(1939)の線維筋腫,及び辻(1951)の線維腫の各1例の報告を見現在迄に計5例にすぎぬ樣である。
飜つて外國に於ては1901年Palmは線維腫21例,線維筋腫4例,筋腫1例計26例及び尿道膣中隔より發生した線維筋腫3例,筋腫2例を加え總計31例につき統計的觀察を行い,又1920年Gold-bergはPalmの統計に線維腫2例,線維筋腫3例,筋腫2例及び尿道膣中隔より發生した筋腫4例を加えて計42例を發表し,更に1938年StöckelはPalm,Goldbergの統計中記載の疑わしいものを省き確實なる文献のみを蒐集し線維腫16例,線維筋腫15例及び筋腫12例計43例を集めている,これら内外の文献を通じてみると女子尿道壁より發生した線維腫,線維筋腫及び筋腫等は精々數十例に過ぎずポリープ,乳嘴腫,カルンクルス又は癌腫等に比して甚だ稀なものである。今回我々も29才の未婚女子の尿道前壁に發生した小難卵大の線維筋腫を經驗したので報告する。
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