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腎軟結石を伴なう腎腫瘍の1例
後藤 薰
1
,
小林 隆
1
1京都大學醫學部泌尿器科教室
pp.346-350
発行日 1953年6月1日
Published Date 1953/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200983
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I緒言
尿路軟結石症に關する文献上の記載は1817年Marcetがフイブリン結石なる名稱の下に本症を報告して以來,蛋白結石,膠質結石,細菌結石等の名稱の下に散見され,1944年には當教室の秋山氏により尿路軟結石症なる題名にて總括的な記載がなされている。然しながら本症の文献上の記載は,Marcet以來現在迄80例を越えていない。而して結石は網状層状の構造を有し,ワイゲルト染色が陽性であるのが原則であるが,時として陰性の事もあり,之は尿の作用によるのであろうと老えられる。叉その成因に關しては,出血説.炎症説,膠質説等が述べられて一定せず,合併症は存する事も,存しない事もある。
一方,グラウイツ氏腫瘍に就ては,文献上多くの記載を見出し,組織學的に,定型,非定型な腫瘍組織の處見が述べられているが,グラウイツ氏腫瘍と軟結石との合併例はWeberの報告による1例を見出すにすぎない。
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