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遺傳性表皮水疱症と色素性乾皮症の合併例
吉田 良夫
1
1東北大學醫學部皮膚科教室
pp.530-532
発行日 1952年11月1日
Published Date 1952/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200827
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症例
第1例民井某女,2年3ヵ月,初診,昭和18年3月家族歴,父方祖父71歳,祖母65歳,母方祖父58歳,祖母50歳皆健,父34歳現在健であるが幼時膿痂疹に苦しむ,母現在妊娠5ヵ月で健,流死産なく血族結婚でもない。同胞2,姉8歳健,父の同胞計11名中4名は1〜5歳の間に消化不良症で死亡,1名は20歳で肺結核死亡,現存同胞6名となり父はその3番目,第1(43歳)健,第2(39歳女)は顔面,躯幹が目立って褐色調を呈するという。第4(31歳女)にそばかす著明,第5(29歳)第6(23歳)には異常なく他の同族内にも同病を識らない。
既往症及現病歴昨年麻疹,種痘昨年1回,両親は生後3日両手足に水庖の登生せることに氣付いた。満1年になるまで外傷により,或は始めに療痒を訴えこれを掻爬すると水疱が出るのを常としていた。満1年以後約7ヵ月は水疱發生を見なかったがその後再發し最近になって甚しい。季節的消長なく著明な部位は前膊,手背,下腿特に足關節部更に足背で,おむつの刺戟が加わると思われる臀部、鼠徑部には出來ない。顔面は水疱は出來ないが外傷などにより表皮が剥脱し易く,そのあと色素脱失を來す。約半年前より顔面特に額,頬部に瀰慢性に褐色の色素沈着を認めるようになつた。
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