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尿管腸吻合術後及び尿毒症の場合の血清カリウムの消長に就いて
楠 隆光
1
,
高野 成夫
1
,
阿部 禮男
1
,
伊藤 本男
1
1新潟大學泌尿器科
pp.521-526
発行日 1952年11月1日
Published Date 1952/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200825
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種々の電解質の中で,カリウムは多量に細胞内に存在して,細胞の酵素作用に必要缺くべからざるものであり,又含水炭素代謝に關係し,細胞内外の體液の膠質平衡及びpHの維持或は神經筋肉の過敏性の保持等の一聯の生理作用の運螢上極めて重要なものである事は,最近のFenn;New-burgh,Darrow and Pratt;Danowski等の研究で明らかとなった。人類はカリウムを主として米を除く野菜類から絶えず攝取しているもので,その量は1日約3.4瓦と稱されている。これと平行して,他方人類は殆んど同量のヵリウムを排泄しているもので,その大部分,即ち90%は尿中に,そして残りの10%は糞便中に出るもので(Mart in其他),又その極めて少量が汗の一成分として分泌される(Arn and Reimer)。故に腎機能はカリウム代謝に極めて大いなる影響を有するもので,腎機能障碍の際には低カリウム血症hypopot-assemia或はhypokalaemia,又は過カリウム血症hyperpotassemia或はhyperkalaemiaを惹起する場合がある。
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