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結核腎摘出後の瘻孔形成
大矢 知身
1
1東京警察病院
pp.381-382
発行日 1952年8月1日
Published Date 1952/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200774
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結核腎摘出後の瘻孔形成は化學療法の發達せる現今,其の跡を絶つものと考えられたのであるが吾々は未だ時々此れを認めるのであります。此の瘻孔問題に就いては種々論議せられ,局所的要因及全身的要因を擧げる人々がある。局所的要因に就ては1)腎門部淋巴腺,殊に此れを損傷せざるを有利とする人があり,2)腎剥離,殊に腎莖切斷時の溢血中の結核菌による手術野の汚染を原因とする人あり,3)癒着せる腎被膜,脂肪嚢,又は腎莖血管周園及び殘されたる副腎等に於ける病理變化を以て原因とする人,4)輸尿管斷端の虚理法如何に原因を求むる人,5)結紮に使用する絹縣を問題として居る人あり,夫々屡々意見の開陳を見てゐる。
吾々は以上の論議に興味を引かれて,一定の術式を以て行つた吾々の最近の經驗例57例の腎結核剔出術(此の中瘻孔形成せるもの18例)に就て臨床的に觀察する機會に惠まれたので,其の所見から上記の論議の批判を試みたい。
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