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尿膜管腫瘍(膀胱頂部圓柱上皮細胞癌)の1例
外松 茂太郎
1
,
大橋 一郎
1
1京都府立醫科大學皮膚科泌尿器科學教室
pp.363-366
発行日 1951年8月1日
Published Date 1951/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200560
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緒言
襄と高橋・堀尾・落合は「膀胱腺腫,特に膀胱頂部腫瘍(尿膜管腫瘍)に就て」の論文に於て,「たとえ本來の膀胱腫瘍が頂部に發生する可能性を認めるとしても,是は極めて稀なものと考えてよく,從つて治療的立場からは膀胱頂部に發生した腫瘍は寧ろ之を凡て尿膜管腫瘍として取扱うのが適切であり,此の意味に於て純臨床的に膀胱頂部腫瘍という1典型を認めて差支ないであろう。」と結論している。而して尿膜管腫瘍は極めて稀有のものであり,内外文献を渉獵するも60餘例を算するに過ぎず,本邦にては藤井,川崎,井上,松井,伊賀—大岩,高橋—堀尾—落合,北村—朴澤,辻(2)の8例を見出すのみである。
余等は37才男子で血尿を訴える患者に於て,膀胱鏡的に膀胱頂部に占居する特異なる腫瘍を發見し,膀胱頂部腫瘍なる診斷の下に恐らく尿膜管腫瘍ならむと疑い,膀胱高位切開を施行した所,膀胱頂部よりの尿膜管を認め之が該腫瘍と連絡あるを明かにし,更に組織學的に筋層内乃至粘膜内尿管より發生せる圓柱上皮細胞癌なるを確め得た稀有症例を得たので報告する。
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