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瘢痕部に骨樣變性を來せる症例
住吉 義級
1
1三菱病院
pp.151-152
発行日 1951年3月1日
Published Date 1951/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200487
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皮膚に石灰を沈着する疾病に石灰新陳代謝の障碍として全身の皮膚に點々と板状結節を生ずるところの轉移性汎發性石灰沈着症と,内分泌腺の機能障碍又はビタミンに依つて起ると思われる新陳代謝性石灰沈着症と,血清の變調に依るものとがあるが,是等は全身障碍に伴う所の一症状として皮膚に發現するものであつて,當然皮膚以外にも來り,全身障碍の症状をも隨伴するものである。
以上の外に局所に限定して石灰を沈着するものを局所性石灰沈着症という。是は上皮腫,粉瘤,皮樣嚢腫,血管腫,結核,黴毒乾酪變性,貧血性壞死竈,血栓,死胎兒,腎臟細尿管上皮の壞死部等に榮養が障碍されて石灰鹽が吸着,結合され沈着するに至るものである。石灰化上皮腫,皮下に石灰を沈着せる多形皮膚筋炎,サルバルサン又は其他の注射部に發生した嚢腫並に結石,死滅した寄生虫卵の石灰化等の症例が報告されている。外傷瘢痕或は手術創瘢痕部等の瘢痕組織内にも石灰を沈着し得るものであつて是等が高度に進展して骨組織を形成するに至る事がある。(皮内骨新生)
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