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皮膚科領域に於ける組織化學の進歩(I)—特に核酸を中心とする術式とその應用面
市川 收
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1ミノファーゲン製藥本舖研究部
pp.53-57
発行日 1951年2月1日
Published Date 1951/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200458
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戰後急速な進歩をみせたものに,核酸,蛋白,多糖類を中心とする組織化學がある。我國に於ても細胞學,病理學への利用がはかられ,人々の注意をひくようになつた。細胞の形態學的な觀點から核酸などの新陳代謝について論議せられ,病變に於ても細胞變性像の種々相を化學的な觀點から把えることが出來る。皮膚科領域における利用例はまだ少いが,既にウィールス,細菌による病變,白血球顆粒についての業績が明らかにせられ出したのである。例えば痘瘡のガルニェリー小體,ボリンゲル小體の構造(市川),傳染性軟屬腫のパターソン小體の構造(市川,Hydén), Verurca小體の構造(Hyden),水痘の病變(市川),結核,癩における病變(市川),紅斑性狼瘡に於ける鹽基性小體(Klemper, Gueft),粘液腫(Laurence),類纖維化(Altshuler),アレルギー疾患と密接なエオジン好白血球の顆粒の實體(市川,Kirkman)膿球に關係する中性好白血球の顆粒實體(Rhein-gold,市川,Frönko)などについては詳しくわかつてきた。
將來組織化學を大いに利用することによつて,いろいろのことがわかるようになるであろう。著者1—3)はこの方面をこゝろがけてきたので,取敢ず現在までに發達した諸術式を解説し,その利用面をまとめ參考に資したいと思う。
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