泌尿器科圖譜・1
尿道異物と膀胱異物とを併用せし1例
田中 謙
1
,
仲 貞男
1
1慶大泌尿器科
pp.51-52
発行日 1951年2月1日
Published Date 1951/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200457
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患者は38才未婚男子である。異物は圖の如く何れも髪ピンで手淫の目的で2〜3日の間隔を置いて尿道から挿入されたものである。異物の滞留期間は初診時まで約4ヵ月であつた。尿道異物となつた髪ピンの右脚は第1圖の如く尿道壁を破り龜頭を貫き外部に露出していた。尿道レ線寫眞(第2圖)をとるとピンの左脚の先端は龜頭部に存在するが尖鋭部が折れていたために外部に露出していなかつた。膀胱異物となつた髪ピンは第3圖の如くその頭部に結石を形成していた。患者は初診時尿道異物のみを訴え他を強く否定していたが念のため撮影した膀胱部レ線寫眞(第4圖)により膀胱異物結石を確めたものである。異物及異物結石は外尿道截開術及膀胱高位截開術によつて容易に除去することが出來た。なお患者の智能程度はやゝ低く手淫は25才の頃より覺え週に2〜3回行つていたが,器物を尿道から挿入したことはこれが初めてであつたと云つていた。
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