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皮膚結核化學療法の經驗
谷奧 喜平
1
,
藤田 惠一
1
,
水野 信行
1
,
久木田 淳
1
1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.493-501
発行日 1950年12月1日
Published Date 1950/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200430
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緒論
1890年Robert Kochがシアン化金カリウム(Aurum kalium cyanatum)に結核發育阻止作用のあるを認めて以來今日迄,結核化學療法には無数に近い藥劑が登場した。然かもその殆んどすべてが無効か,又は之に近い成績で,相踵いで葬り去られて來たが,1940年以來プロミン,ダイアゾン,プロミゾール,ナルフェトロン,パス,ストレプトマイシン,ダイハイドロストレプトマイシン,ティビオンと一連の合成化學劑及び抗生劑が創製或は發見され,その單獨乃至併用療法が試みられ,そしてその或るものゝ相當な有効性が確認されるに及んで,茲に長年の結核化學療法にも初めて希望の曙光の射し入つた觀がある。これを皮膚科領域にて見るに,Hinshaw et Feldman(1946年)のプロミン,Sharp(1945年),Ander-son(1946年),O'Leary et al.1947年)のプロミゾール,Andetson et Strachan(1946年)のナルフェトロン,O'Leary et Ceder(1946年),Hinshaw et al(1946年),Copbes(1949年)のストレプトマイシン,Hinshaw, Feldman et al.(1948年)のダイハイドロストレプトマイシンの夫々皮膚並に粘膜結核に有效なるの報告あり,他方又Charpy(1943年),Feeng(1947年)はカルシフェロールCalciferol(ビタミンD2)の效果に見るべきものがあると述べている。
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