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疣贅とアトロピン
山形 志乃武
1
1京都府立醫科大學皮膚科泌尿器科教室
pp.462-464
発行日 1950年11月1日
Published Date 1950/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200421
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緒言
余は昭和22年以來圓形脱毛症患者に就き其の植物神經の緊張状態を藥力學的に檢索し,比較的屡々本患者が副交感神經の機能失調状態にある事を知つた。而して斯る際圓形脱毛症に對し局所療法を行うと共にアトロピンの少量を注射し其の治療的効果の有無を觀察中である。其の成績に就ては未だ發表の域に達していない。然るに余は以上アトロピの治療的効果觀察中偶々圓形脱毛症に尋静性疣贅の併發せる患者があつて,該疣贅がアトロピンの4,5回の注射に依り完全に脱落せるを經驗し,少なからず興味を感じた。爾來余はアトロピンを尋常性疣贅竝に青年性扁平疣贅患者に對し愼重に臨床的に使用し,其の治療的効果を觀察した。然して以下症例の條下に示す如き治療成績を得た。未だもとより其の作用機轉に關して一定の見解を得す憶測によるの範園を出ないが,此所に其の治療成績の大概を報告し,大方諸賢の教示を仰ぐ次第である。藥劑としては本學製品の0.1%硫酸アトロピンを用い,使用方法としては其の0.1乃至0.2ccを上膊皮下に1日乃至2日の間隔にて注射を行つた。
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