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エリテマトーデスの問題,その1.—性別,年齢別,發病増惡時期の統計的観察,エリテマトーデスの色素増殖型と不全型或は頓挫型.
北村 包彦
1
,
安田 利顯
1
,
笹川 正二
1
,
船橋 俊行
1
1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.50-53
発行日 1949年2月1日
Published Date 1949/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200152
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エリテマトーデスは原因・病理・症状・治療に亘り多くの問題を孕み,これに繋がる興味は大きい,先年伊藤教授等が本症を傳染性アレルギー性疾患とし,その發病増惡機序の説明をBiotropis-meの概念に求め,1剖檢例の腹部臓器小動脈にFibrinoide verquellungを,腎に急性糸毬體腎炎を認めてその實證とされたことは,本症病理解釋に一段階を劃したものであるが,我々は最近所謂Senear-Usher症候群,即ち本症の皮膚症状に脂漏性皮膚炎,尋常性及び落葉歌天疱瘡,ヂューリング疱疹状皮膚炎の夫れが併發乃至續發したもの2例を見る機會あり,本症は何等かの内在性病的過程に封する皮膚反應なるの感を深くした.然かもSulzbergerの如きこの内在性病的過程も,決して一種特定のものでないことを力説してゐる.エリテマトーデスは近年増加したとアメリカで云はれてゐるが,日本でもその風あり,我々の外來,病室にも絶えす何人かの患者のゐる状態である.最近本症に試みた2,3の觀察,治療の結果を一應取纒めて置かうと思ふが,本篇では患者の性別・年齢別及び發病増惡時期を統計的に觀察し,次いで本症の特殊型として我々の所謂色素増殖型と同じく不全型或は頓挫型とに就て述べることとする.
最近約2年間に取扱つたエリテマトーデス症例49,その性別・年齢別・症型別の關係第1表の如し.
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