--------------------
輸精管運動の藥理學的研究—第I篇正常家兎輸精管
橫倉 正肆郎
1
1慶應義塾大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.109-113
発行日 1948年8月1日
Published Date 1948/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200095
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ緒言
輸精管を刺戟しその運動を初めて觀察せるはEd.Weber(1846)にして、人體輸精管に就きてはKgbölliker及びVirchow(1850)が死刑屍の輸精管に電氣的刺戟を與へ著明な短縮を觀たるを嚆矢とす。其後動物實驗に於て、輸精管運動を藥理學的に研究せるものの中、Perutz及びMerdlerは犬の輸精管をKurdinowski氏法によりて生體内にて行ひ、Waddelを初めPerutz及びTaig-ner.郷原、梅田、辛島、岩城、伊藤、繼、小池等は剔出輸精管に就て實驗的研究を行へり。輸精管はアドレナリン、ピロカルピン、アセチールヒヨリンにより刺戟せられ緊張上昇、律動性收縮を起すが故に輸精管は交感神經、副交感神經兩者により支配せられ、而かも兩者の間に拮抗性を認めずとするは諸家の等しく一致せる意見なり。然るにピロカルピン、アセチールヒヨリンは共にその少量にては副交感神經末梢を刺戟せしむるも、大量にては交感神經末梢をも刺戟興奮せしむることを田中、小林が報告してより、輸精管の自律神經支配に關してはこれが再檢討すべき要ありとし、小池は家兎輸精管に於て、アセチールヒヨリンの最少有効量0.1mg%は副交感神經末梢を刺戟せしむると同時に交感神經末梢をも刺戟せしむることを證し、且つ家兎輸精管は交感神經、副交感神經の兩者に支配されると述べたり。されど輸精管に對する副交感神經毒の作用に關しては未だ判然たらざる所あり。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.