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輸精管運動の藥理學的研究—第2篇人體輸精管
橫倉 正肆郎
1
1慶應義塾大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.163-167
発行日 1948年10月1日
Published Date 1948/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200110
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緒言
人體輸精管の運動に關しては、Kölliker及びVirchow(1850)の報告を嚆矢とす。而してその後人體輸精管に對する自律神經毒の作用に關する報告は極めて少く、余の獵渉し得たる範圍に於ては、Macht, Boehminghaus,岩城・藤田Martin,Valle及びPortoの報告あるのみ。Machtは手術中に切取りたる輸精管に就てエピネフリンの作用を調べ、岩城は2例に自動運動を觀、又電氣的刺戟を與へ、藤田は6例に就き、Boehming-hausは32例に就き、Martin, Valle及びPortoは17例に就き藥理學的反應を檢せり。Boehminghaus, Martin, Valle及びPortoは、アドナリン、ピロカルピン、アセチールヒヨリン等による促進作用から直ちに人體輸精管は、交感神經、副交感神經に支配せられ、両者の間に拮抗作用を認めずと報告せり。蓋し單一なる作用を呈せざるアセチールヒヨリン、ピロカルピンの作用のみから副交感神經支配を云々するは早計なるべし。
依つて余は比較的多數の人體輸精管を蒐集して實驗材料として、藥理學上より見たる人體輸精管の自律神經支配に就き聊が檢討を加へたり。
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