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稀有なるSalvarsan劑の副作用
八木 辰太
1
1國立川棚病院産婦人科
pp.15-16
発行日 1948年1月1日
Published Date 1948/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200065
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緒言
Salvarsan劑は發見當初に於ては往々重篤な副作用があり致死の不幸を見ることさへ必しも寡くなかつたが,近時製品の改良と使用上の周到な注意とに依つて不幸な副作用をみるのは稀有な例外的存在となつた。然しながら斯の如く重篤なものではなくても輕い或は重くても一過性の症状は毎常經驗すると言つても過言で無い位遭遇するもので,小松は14820回のSalvarsan注射中2323回の副作用を經驗し,京大では3016例中一過性副作用は38.0%に認めたと言ふ。而して副作用の多くは嘔氣,發熱,嘔吐,頭痛,四肢倦怠,四肢麻痺感,急性發疹,蕁麻疹,Anaphylaktoid,其他で腹痛,眩暈,帶状疱疹,神經痛,筋肉痛,黄疸,浮腫等は少く,皮膚瘙痒,出血,口内炎等に到つては極めて稀である。
余計らずも口脣の麻痺,咽喉粘膜の瘙痒を訴へた興味ある副作用例を經驗したので,杜選も顧みず報告し文獻に追加する次第である。
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