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副睾丸結核の特異な症例並に精系結核
岡 直友
1
,
薜 永樑
1
1京都帝國大學醫學部泌尿器科教室
pp.82-84
発行日 1947年4月1日
Published Date 1947/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200021
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緒言
副睾丸結核の統計に關しては既に諸家による多くの報告があり,ここに蛇足を加へる必要もなからうが,後段に報告する症例の参考に必要な範圍で,又特に強調したい點について先づ昭和18年初から同19年8月末に至る1年8ケ月間の,同症手術42例(泌科外來患堵總數の3.07%)を摘記しやう。患側についてに特記すべきものがない。主訴は腫脹26例,瘻孔形成3例,疼痛4例であつて,多くはこの様な主症瓶を以て來院するのであるが,或はまた體力檢査の際に,或は腎臓結核患者の診察の折に,偶然に發見されはじめて氣の付くものも少くなく,主訴のない9例のうち8例は腎臓結核患者に於て偶々發見せらたものである。本症の合併症乃至は既往症のうち,注目すべきもめは,泌尿生殖器系統の他部の結核の存在であつて,腎臓結核の既往症14例,他側副睾丸結核の既往症5例であり,來院時の合併に關しては表の如くである。ここに最も注目すべきことは,副睾丸結核患者に瘻々腎臟結核患者を發見することであつて,即表の12例中4は副睾丸結核を主訴として來院し,偶々行つた泌泉器の系統的檢査によつて,腎臓結核を發見したものである。吾人は副睾丸結核患者に接しては,尿檢査乃至膀胱鏡檢査に勞を惜しむことなく之を施行して,尿路の結核合併の有無を追及することが緊要なうことを痛感するのである.
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