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精系結核腫の2例
斉藤 稔
1
1新潟大学医学部皮膚泌尿器科教室
pp.423-426
発行日 1954年7月1日
Published Date 1954/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201238
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一般に結核腫は,中枢神経,脳,眼窩,中耳,及び腎臓等に発生するものとされて居るが,泌尿生殖器結核として精系に原発性に生ずる事は稀である。即ち古くはLegueu(1909)がその1例をLjvraga(1938)は自験例を併せてその4例を,又 Heckel 及び Peyster(1944)は自家経験の1例と共に文献例を集めてその5例を報告して居るが,欧米に於ては極めて稀なものである。飜つて本邦に於ては,1931年石津氏に依り第1例が報告されて以来,今日迄に44例の記載があるが,近年その報告が増加しつつある様に思われる。今迄単に精系結核と呼ばれて来たものは,精路の結核から二次的に連続的侵襲により生じたものでなく,精系内に原発性に生じたものであり,その本態は組織的には,蔓状静脈叢に於ける結節性結核性静脈炎内至静脈周囲炎である。私は最近,かかる既往の概念とは全く組織像の異る陳旧性の結核腫の1例と,定型的な組織像を示した1例を経験したので,症例を迫加すると共に,文献的考察を試み度いと思う。
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