特集 循環器救急診療・集中治療を極める
序文
循環器救急診療・集中治療を極める
菊地 研
1
1獨協医科大学救命救急センター
pp.514-515
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200623
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突然に発症して短時間で致死的な病態に陥る心血管疾患は,「救命の連鎖」を強化することで転帰を改善させることが可能になる.その代表疾患である急性心筋梗塞(AMI)には,致死性不整脈の治療に加えて緊急での冠動脈カテーテル治療(PCI)による再灌流療法が行われ,院内死亡率は劇的に低下し,5%となっている.
その一方で,克服すべき課題は残されている.心原性ショックを伴うAMIには,緊急でのPCIと同時に機械的循環補助装置を駆動させるなど救急集中治療が即時に行われているが,院内死亡率は40%と依然として高い.機械的合併症を生じたAMIも致死率は高い.冠動脈治療室(coronary care unit ; CCU)または集中治療室(intensive care unit ; ICU)には,AMIによる心原性ショックだけでなく,難治性心不全,循環不全/ショックなど他の循環器疾患が増えている.この中には心停止後の自己心拍再開後症例も含まれている.さらに患者の高齢化と複数の併存疾患を伴うことにより,呼吸不全,腎不全,敗血症の併発による多臓器不全が増えている.このため,心血管系の処置に加え,脳蘇生,人工呼吸,腎代替療法,あるいは感染症治療が求められ,最近の救急集中治療に合わせた変化に対応しなければならなくなっている.
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