連載 臨床研究の進め方:ピットフォールに落ちないための工夫・1【新連載】
研究アイデアを具現化し計画の骨子を考える①
植田 育子
1
,
庄司 聡
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
pp.392-398
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200380
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はじめに 臨床研究を始めようと思うとき,それは日常診療で薬の使い方や治療方針にふと疑問を感じたとき,あるいはカンファレンスでの指導医とのディスカッションがきっかけとなることが多い.そして周りを見回すと,研究対象となる患者は身近にいるし,データは電子カルテを見ればすぐ入手できるので,臨床研究など実にたやすく実施できるように思えてしまう.
しかし,いざとりかかってみると,臨床研究はそれほど簡単なものではないことを痛感する.実際に,慶應義塾大学病院では年間約1,000件もの臨床研究が実施されているが,医師主導臨床研究の多くは,学会発表や論文発表まで辿り着けないという状況にある.ここで改めて考えてみたいのは,なぜ医師にとって身近であるはずの臨床研究は進まないのか,そして,どのようにすれば臨床研究を最後まで完遂することができるのか,という点である.本連載では,臨床研究のピットフォールに落ちないために,
① 医師自らのアイデアを具現化し,臨床研究の計画の骨子を立てる
② 臨床研究実施に必要な文書類を系統的に整備する
③ 臨床研究を効率的に運用するために必要な体制構築を認識しておく
という3つのポイントを,幾度も臨床研究の立ち上げに携わってきた臨床研究コーディネーター(clinical research coordinater;CRC)の立場から紹介する.
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