特集 エキスパートに学ぶ—肺癌診療 悩ましいシチュエーションへの解決策
序文
エキスパートに学ぶ—肺癌診療 悩ましいシチュエーションへの解決策
虎澤 匡洋
1
,
後藤 悌
2
,
宿谷 威仁
1
1順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学
2国立がん研究センター中央病院呼吸器内科
pp.4-5
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200608
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肺癌の診断と治療はここ数年で飛躍的な進歩を遂げ,治療選択が複雑化してきている.ドライバー遺伝子変異とそれに対応する分子標的治療薬の発見は進行・再発非小細胞肺癌患者の予後を飛躍的に改善した.10年くらい前までは,EGFR遺伝子変異とALK融合遺伝子がドライバー遺伝子として検索されていたが,2022年の肺癌診療ガイドラインでは,8つの遺伝子異常がドライバー遺伝子として掲載されており,今後,その数がさらに増える可能性が高い.検索すべき遺伝子数の増加に伴い,遺伝子検査もsingle plexからmultiplexの検査へと移行し,また,multiplexの検査を施行するためには,十分な腫瘍検体の質と量が必要となってきている.
薬物治療においては,例えば,EGFR阻害薬も5つ上市されており,血管新生阻害薬とのcombinationや細胞傷害性抗がん剤との組み合わせも標準治療の一つとされている.このような中,どのレジメンを用いて治療を行うか,また,耐性化後の治療選択に悩むことも多い.また,近年,進行期においても,奏効すれば病勢を長期に制御することが期待される免疫チェックポイント阻害薬も数多く導入されている.臨床試験のデータを読み取り,各レジメンの特性を活かして,どのように最適なレジメンを選ぶかが現場の医師に求められている.
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