連載 Case Study 診断に至る過程・5
腹痛,悩ましきもの
松村 正巳
1
1金沢大学医学部附属病院 リウマチ・膠原病内科
pp.204-207
発行日 2007年1月10日
Published Date 2007/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101992
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病歴&身体所見
32歳,男性
主訴:右側腹部痛,発熱
現病歴:昨日までは全く元気であった.本日明け方頃から胃のあたりが痛くなってきた.4~5時間後には食欲不振,嘔気が出現した.嘔吐はない.さらに痛みが右側腹部あたりに移動し,発熱も認められるようになってきた.痛みは持続し,咳をすると増悪するという.下痢,排尿困難,頻尿はない.症状が出現してから約16時間後に受診した.昨夜は家族と同じものを食べ,家族に同様の症状を示すものはいない.
既往歴:特記事項なし.
家族歴:特記事項なし.
嗜好:たばこは1日20本12年間,アルコールは機会があれば飲む程度である.
内服薬:なし.
最近の旅行歴:なし.
身体所見:血圧118/86 mmHg,脈拍84/分,整,体温37.6℃,呼吸数16/分.
患者さんは比較的安楽にみえる.眼瞼結膜に貧血はなく,眼球結膜に黄疸はない.リンパ節腫脹や発疹は認めない.呼吸音異常なし.右側腹部に圧痛を認め,右下腹部にも軽度の圧痛を認めた.McBurney点の圧痛は明らかでない.筋性防御,反跳痛は認めない.右腸腰筋サインは陽性である.右肋骨脊柱角に殴打痛は認めない.直腸診では異常なし.
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