特集 どう診る? 急増する非結核性抗酸菌症,見逃せない結核
Ⅱ.非結核性抗酸菌症 各論
非結核性抗酸菌症の疫学—求められる抗酸菌サーベイランス・システム
濱口 由子
1
,
森本 耕三
2
1(公財)結核予防会結核研究所臨床・疫学部
2(公財)結核予防会複十字病院呼吸器センター
pp.174-180
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200541
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Point
・近年,非結核性抗酸菌(NTM)による感染症が世界的に増加しており,日本の肺NTM症の有病率は諸外国で報告されているよりも高く,蔓延状態にある.
・NTMは現在わかっているだけで200種以上,その自然史や感染・発病メカニズムを含め,大部分が未知である一方,日本を含め多くの諸外国では,NTMに関するサーベイランス・システムが確立されていない.
・そのため,高いコストを払い,大規模な全国調査を定期的に実施する必要があり,疫学指標のモニタリング,NTM希少種における医学的知見の創出,NTM症における診断・治療の実態把握などにおいて,大きな障壁となっている.故に,NTM症患者の臨床・疫学情報と微生物学的検査情報を紐づける全国規模のデータベース,すなわち抗酸菌サーベイランス・システムが求められる.
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