特集 進行期肺癌治癒への道—がんゲノム医療と免疫プレシジョン医療の接点
Ⅱ.分子標的治療薬最前線
ROS1/RET/BRAF遺伝子変異肺癌の治療
谷本 梓
1
,
矢野 聖二
1
1金沢大学がん進展制御研究所腫瘍内科
pp.390-400
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200377
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Point
・ROS1融合遺伝子陽性肺癌に対するROS1キナーゼ阻害薬の親和性が高く,治療反応が良好である.薬剤耐性機構としてsolvent front変異を中心とした二次変異の出現率が高いが,それを克服しうる新規治療の開発が活発に行われている.
・RET融合遺伝子陽性肺癌に対し,RETを標的に含む既存のマルチキナーゼ阻害薬では十分な治療効果が得られなかったが,新たに開発された高選択的RET阻害薬が著しい治療成績を挙げている.
・BRAF遺伝子V600E変異陽性肺癌は,BRAF遺伝子V600E変異陽性の悪性黒色腫と同様にBRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用療法が有効である.一方で,肺癌において頻度が高いnon-V600変異に対する治療開発が課題となっている.
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