トピックス
retプロトオンコジーンの変異と遺伝性疾患
高橋 雅英
1
1名古屋大学病理学第2講座
キーワード:
retプロトオンコジーン
,
多発性内分泌腺腫症
,
Hirschsprung病
Keyword:
retプロトオンコジーン
,
多発性内分泌腺腫症
,
Hirschsprung病
pp.830-832
発行日 1995年7月15日
Published Date 1995/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902540
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
retプロトオンコジーンは,上皮成長因子レセプター(EGFレセプター)やインスリンレセプターなどと類似の受容体型チロンンキナーゼをコードしている1,2).これらは細胞膜貫通型の蛋白であり,細胞表面において特異的な増殖因子と結合することにより,チロシンキナーゼ活性が誘導され,細胞の増殖や分化にかかわっている.したがって,これらの蛋白にアミノ酸変異が生じれば,発現細胞の異常増殖や機能異常により種々の病気が起きることが予想される.retプロトオンコジーンは胎生期に一過性に生じる神経堤細胞由来の腫瘍(神経芽細胞腫,副腎褐色細胞腫,甲状腺髄様癌など)に特異的に発現することが知られており,この2年間にretが複数の遺伝性疾患の原因遺伝子であることが明らかになってきた.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.