特集 症例から考える難治性びまん性肺疾患—病態と最新治療戦略
Ⅱ.特発性間質性肺炎
1)特発性肺線維症
①慢性安定期
特発性肺線維症をどう考えるか
増尾 昌宏
1
,
宮崎 泰成
1
,
稲瀬 直彦
1
1東京医科歯科大学呼吸器内科
pp.214-223
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200131
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Point
・特発性肺線維症は,多様な遺伝的背景と環境因子に関連した慢性炎症および繰り返す肺胞上皮の損傷などにより発症するとされている.
・家族性間質性肺炎においては,サーファクタント関連蛋白,テロメラーゼ関連蛋白,ムチン関連蛋白の異常が認められており,さらにゲノムワイド関連解析により特発性肺線維症の関連遺伝子が新たに複数報告されている.
・吸入物質が原因で肺に線維化を起こす過程には,その物質の肺局所への到達と残留,生化学反応,免疫反応,線維化反応とともに,その個体における環境的因子,遺伝的因子が関わっている.
・特発性肺線維症の肺局所での病態は,繰り返す上皮傷害とそれに引き続く上皮機能と創傷治癒機転の異常であるとされる.ERストレスの亢進,酸化ストレスの増加,テロメア短縮,エピジェネティックス,オートファジー機能の低下などが関わっていると考えられている.
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