特集 呼吸器画像診断—エキスパートの視点
Ⅲ.間質性肺疾患,またはびまん性肺疾患
うっ血性心不全に伴う肺水腫の画像所見は肺炎と鑑別できるか?
江畑 智広
1
,
藤本 公則
1
1久留米大学医学部放射線医学講座
pp.60-69
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200008
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Point
・肺胞性肺水腫は心拡大や胸水貯留に加え,典型的には両側肺門側優位の蝶形陰影を呈し,小葉間隔壁などのリンパ路性間質の肥厚を伴う.
・肺炎は限局性・区域性の陰影を呈し,しばしば小葉中心性・細葉性・小葉性陰影を伴う.
・典型的な画像所見を呈していれば肺胞性肺水腫と肺炎の区別は比較的可能であるが,実際には肺胞性肺水腫とそれに合併した肺炎を明確に判別し難いこともしばしば経験される.
・時に肺胞性肺水腫が比較的限局性の分布を示し,肺炎との鑑別に迷うこともある.
・肺胞性肺水腫は比較的短期間に陰影が変化しうるため,胸部X線写真で陰影の経時的変化を確認することで,初めて両者の判別が可能となることも少なくない.
・画像所見のみで両者を鑑別するには限界があり,臨床像や検査データ,経時的変化などと併せた総合的な評価が大切である.
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