扉
医学教育における脳神経外科の立場
板倉 徹
1
1和歌山県立医科大学脳神経外科
pp.237-238
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902177
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近年,脳神経外科の社会的立場の脆弱性が指摘されている.脳神経外科医が救急の現場や脳卒中の医療で活躍しているにもかかわらず,社会的にこの点が十分認識されているとはいえない.例えば,救命救急センター長は「救急指導医など…」とされ,脳神経外科医がセンター長となることを排除している.また,今年度から発足した厚生労働省指定のstroke care unitの設置条件に「常勤の神経内科医が必須」とされているが脳神経外科医はそうではない(最近,脳神経外科医も含まれるようになったと聞く).当大学附属病院救命センターにおける救急の実態を考えてみても,その約半数が脳神経疾患であり,脳血管障害と頭部外傷がそのほとんどを占めている.しかもその多くの症例を脳神経外科医が治療しているのが現状である.にもかかわらず,脳神経外科医が救命センター長になれなかったり,SCUのスタッフとして必須ではないというのは納得がゆかない.
同じことを教育の現場でも痛切に感じている.日本の卒前教育にコアカリキュラムの導入が計画されている.重要な分野だけを徹底的に教育し,その他は各大学の自主性に任せるというものだ.その中で臨床実習などはコアの科目だけを必須とし他の分野は選択性になるという.このコアカリキュラムが日本の医学教育にとって適切なものであるかどうか,はなはだ疑問が残る.
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