歴史探訪
脳卒中か脳中風か—「風」の病理学
朝倉 哲彦
1
Tetshuhiko ASAKURA
1
1鹿児島大学
1Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Kagoshima University
pp.919-923
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901961
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I.はじめに
本誌27巻3号(1999年)に「脳はなぜ脳と書くのか」という小文を掲載して貰った1)ところ,各方面から,かなりの反響があった.大方は筆者の意を諒とされての励ましの言葉であった.中には励ましが過ぎて,「この調子で全身の臓器の名称の由来を考察せよ」とのありがたいご指示もあった.
だが「脳」の字に絡んでの,かなり突っ込んだ議論もあった.まず,「脳」の字の構成成分で月と髪(巛)には問題はないらしい.取り上げられるのは「凶」に当たる字画である.脳の字のこの部分は「囱(そう)」と書くのだと思いこんでいたという人,凶の上に「なべぶた」があるはずだという人,それも少し離れているはずだというような,かなり細かい指摘があった.そして,鈴木二郎先生の「脳と脳」2)が引用してあったのである.
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