連載 看護学生と若手設計者が考える 理想の病院・10
リゾート風な
北原 祥三
1
1株式会社竹中工務店 東京本店設計部 第3部門 設計担当
pp.726-727
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102102
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リゾートとは何か
「理想の病院」テーマの中で,私が担当させていただくのは「リゾート風な」病院です.今回皆さんの問いかけに対して,リゾートとは本質的に何なのかを改めて考えてみました.リゾートにも,例えばスキーリゾート,マリンリゾート,スパリゾート等,多種多様な対象があります.日本ではどちらかと言うと大型娯楽施設としてのリゾートホテル,リゾート開発等でリゾートという言葉は使われてきたように思います.一方,個人で海外旅行に気軽に行ける今の時代,皆さんのディスカッションの中でも挙がっていたリゾートのイメージとして,やはり東南アジア系・南国系の離島などが現代ではリゾートの共通イメージでしょうか.皆さんのサブテーマに「病室がコテージ」というキーワードもありますが,やはり喧騒から離れてゆっくりできる場所,つまり海岸沿いに建つコテージのように,静かに時間を過ごせる環境がリゾートと言えるのかもしれません.
南国の海岸沿いに病室が点在するリゾート病院があれば,患者さんも働く皆さんもリラックスできるかもしれません.ただし,病院はホテルや別荘のように娯楽目的の場ではありませんし,遠い場所では病院機能の役割を成すことはできません.今回私に与えられたテーマはリゾートではなく,「リゾート風」という皆さんの願望を真摯に捉えて,海や森といったリゾートロケーションにある病院ではなく,あくまでも都市の中に建つ病院を条件設定し,いかにリゾート気分を建築空間で演出し,かつ病院機能が成立し得るかについて考えてみました.
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