読者からの手紙
北朝鮮における脳神経外科
金 景成
1
1日本医科大学脳神経外科
pp.745
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901931
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筆者は今回,米国,中国,ウズベキスタン,そして日本在住の韓国/朝鮮人医師と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)医師達によるThe Second Pyongyang Joint Medical Symposiumに参加する機会を得た.本会は今後国際学会へ発展することとなっており,日本との医学交流においても重要な位置を占める可能性が示唆されている.一方,近くて遠い国という印象が強い北朝鮮の情報は非常に少なく,その情報にも様々な思惑の中修飾されたものが多いと思われ,今回の訪朝を機に北朝鮮医療の現状を脳神経外科領域を中心に紹介する.
北朝鮮の人口は約2000万人といわれているが,脳外科医は現在全国で120人程度である.その殆どが平壌にある平壌医科大学病院,軍病院,赤十字病院,そして在日コリアンが作ったユニークな金万有病院の4病院に北方のハムン医科大学病院を加えた5病院に集中しており,主にその5施設でmicrosurgeryが行われている.各施設には20人前後の脳外科医が30-50床のベッドを抱え,年間250-350件の手術を行っている.それら5施設を含めた幾つかの病院にCTおよび血管撮影機器は設置されているが,MRIは北朝鮮全土で2台あるにすぎない.また,消耗品の節約のため基本的に画像はフィルムに現像せず,現像した場合も様々な理由をつけて各医師が大切に机の奥にしまってしまう.
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