扉
脳神経外科と駅伝
長尾 省吾
1
1香川医科大学脳神経外科
pp.209-210
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901686
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1999年年始,いよいよ1900年代最後の年が明けた.前世紀末には,フランスあたりでは,耽美,退廃のデカダンスが時代を象徴していたようだが,今の日本は度重なる政治,経済の停滞,失速のため,不安と疲弊の中,皆すべて自信をなくし,委縮,閉居しているように感じられる.今般の経済力低下の影響は医療社会においても例外ではなく,既に本扉にも諸先生が書かれているように我々の意識変革のもと,あらゆる医療機関で抜本的見直し,整理,統合が行われようとしている.近い話,私共の病院運営委員会においては,病床稼動率,在院日数,査定率,院外処方箋率,院外よりの紹介率,医療費などが俎上にのせられ,各科吟味され,目標に達しない診療科は早急な改善が要求される.(そんなことは当たり前との声が聞こえるが…….少なくとも2,3年前はもっと緩やかであった.)また,私の在籍する国立大学においても,近未来に独立行政法人の導入が予想される.そのような医療社会構造になると,大学病院は教育,研究,診療をしておれば良いという従来の概念で運営していたのでは,社会に取り残され,やがて極めて困難な状況に至ると思われる.とにかく今社会は変わりつつある.病院は社会,患者さんの要求に応じたものに変革しなければ生き残れない.
のっけから暗い話になってしまったが,今年の年末年始はゆっくりとテレビでスポーツ観戦をさせて頂いた.
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