グリオブラストーマに対する放射線治療の効果—516例をもとにして

The Effect of Radiotherapy for Glioblastorna: A Review of 516 Cases

Ⅰ．はじめに

　グリオブラストーマは頭蓋内腫瘍の中で最も頻度の高いものの一つであるが，その治療の現状は決して満足すべきものではない．いかに広汎に別出を試みても，腫瘍は必ず再発して来る．放射線治療にも限界があり^1），これによって永久治癒を望むことは到底不可能である，化学療法，その他の治療法に関しては，客観的評価を下すには，未だデータ不足の状態である．グリオブラストーマは本当に治療する価値があるのかと疑問を投げかける人もいる位であるが^14），たとえ永久治癒が望めなくても，一時的症状改善ならびに延命効果が，患者とその家族にとってusefulであるならば，その治療行為は決して無意味ではないと考えるのが，大方の意見であろう^{5，6，9，10，14）}

　本論文の目的は，一つのセンターで長期間にわたって比較的一定した治療方針のもとに治療された比較的多数のグリオブラストーマ症例群について，retrospectiveに放射線治療の効果の程度を明らかにすることである．

516 cases of supratentorial ghoblastoma, treated in the Department of Surgical Neurology, University of Edinburgh from 1950 through 1970, were analysed with a particular attention to the effect of radiotherapy and the factors contributing to better prognosis. The length of postoperative survival was known in 349 cases and it was more than one month in 238 cases. A megavoltage linear accelerator was introduced in 1935 for radiotherapy of glioblastoma and steroids were started to be used almost routinely in 1966 for pre- and postoperative perimmoral cerebral edema.