Japanese
English
脳腫瘍の組織診断アトラス
(22)Arachnoid Cyst and Rathke's Cleft Cyst
Histological Diagnosis of Brain Tumors—(22) Arachnoid Cyst and Rathke's Cleft Cyst
岩崎 康夫
1
Yasuo IWASAKI
1
1日本赤十字社医療センター脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Japanese Red Cross Medical Center
キーワード:
Arachnoid cyst
,
Rathke's cleft cyst
,
Histoloty
,
Electron microscopy
Keyword:
Arachnoid cyst
,
Rathke's cleft cyst
,
Histoloty
,
Electron microscopy
pp.625-634
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900470
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I.クモ膜嚢胞Arachnoid Cyst
1.臨床的特徴
クモ膜に覆われた,髄液を内に含む良性非腫瘍性嚢胞である.クモ膜下槽に好発し,中頭蓋窩(Sylvius裂),大槽部,大脳円蓋部,鞍上部,小脳橋角,四丘体槽などに多く見られるが,脳室内などクモ膜が存在しない部位にも報告がある14,20).
臨床症候を呈する例では,頭痛,痙攣,頭蓋変形などが多く見られるが,無症状のものも多い.本症を最初に報告したのはBright(1831)2,15)といわれるが,最近の画像診断の進歩につれて,無症状のものが発見される頻度が増しており,人口の1%程度にCT上クモ膜嚢胞が見出されるという25).症候を呈するものは小児に多く,無症状のクモ膜嚢胞の発見率も年齢が低いほど高いことから,多くのクモ膜嚢胞は加齢に連れて自然消失すると考えられ,実際に経過観察中の自然消失例も報告されている1,7,26).しかし,急速に増大を認めた例10)や,増大・縮小の見られた報告21)もあり,本症のnatural historyは未だに不明な点が多い.
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