海外だより
米国における動物実験の現状
池田 幸穂
1
1日本医科大学脳神経外科
pp.488-489
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900078
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脳神経外科領域における動物実験は,臨床的研究とともに,ますますその重要性が認識され,日本の各施設で積極的に行われているのが現状であろう.筆者は,1986年から2年間,教室の中澤教授の御尽力により米国Baltimore市Johns Hopkins大学医学部脳神経外科学教室(主任Prof.Donlin M.Long)へ留学する機会を得,ここでネコ,ウサギを使った実験的脳浮腫に関する研究に従事した.その体験から,米国における動物実験の実情,米国人の動物に対する考え方について触れてみたい.
米国留学中,医学雑誌で米国における動物実験の現状に関する記事に接する機会があった.その中で1986年NIH(National Institues of Health)で起きた事件が大きく取り上げられていた.これは動物愛護団体のメンバーの1人がNIHの職員となり,動物実験中の様子をマスコミに写真入りで公表したことである.この1件は,一時,研究活動に大きな制約を強いられたとのことである.同様の事件が米国各地で生じ,動物実験に対する厳しい規制が各施設で施行され,その下で動物実験が行われるようになってきたわけである.
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