特別寄稿
AI時代における脳と心③
浅野 孝雄
1
Takao ASANO
1
1中村元東方研究所東方学院
1Nakamura Hajime Eastern Institute
pp.1106-1114
発行日 2019年10月10日
Published Date 2019/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204081
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第Ⅰ部 フリーマン理論とは何か(続き)
2.行動—知覚サイクルを構成するループ
4) 認知ループ
①エナクティブ・アプローチ
ヴァレーラやトンプソンらは,認知とは世界の表象ではなく,むしろ世界と心を行為から産出することであるとし,そのような考え方を「エナクティブ・アプローチ(enactive approach)」と呼んでいる5,9).エナクティブ・アプローチの発展にかかわる多くの研究者を分野ごとに区分けした彼らの図は,読者の参考に資するところが多いと思われるので転載する(図)9).そこでは,3つのアプローチ・リングに,各分野における主要な貢献者が配置されており,フリーマンの名も神経科学における創発論者として記されている.この図を眺めることにより,現代における心脳問題の全貌を大まかに把握することができるであろう.
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